豊洲おさかな図鑑-今日も寿司大に行ってきました

寿司ネタについて歴史、文化、科学の観点から語る

(20)やっと会えた海のピラニア 鮍 フグ目カワハギ科カワハギ属

「今日カワハギあるんだ」
「ありますよオ。今日入ったんです」
「でもメニューに書いてなかったよね」
「わからなかったの。7時に入ったから」

「写真撮りました?」
「忘れてた。カワハギに会えた喜びでいろんなものが飛んじゃった」

フグの仲間だけど平べったい菱形の魚。初めて食べたのは博多のランチの定食だった。そのころは東日本ではほとんど見かけなかった。江戸前でもよく目にするようになったが、ここ1年ぐらい全くない。
冬、産卵に備えて栄養をため込む。ブリなどと違い、脂肪がほとんどない。ためる場所は肝臓だ。大きくなった肝を乗せ、煮切りしょうゆを塗って食べる。大昔、大阪で「怪しげな店はフグと称してカワハギを使っている」という都市伝説を聞いたことがあるが、個人的にはフグよりうまいと思う。4大好きな寿司ネタの中でも一番。
大きくても30センチほどだが、見かけによらず凶暴な肉食性。つめ切りのような頑丈な歯を持つ。釣り針にかからず餌だけ食いちぎるので、餌取り名人の異名がある。大好物はエチゼンクラゲ。コラーゲンというたんぱく質の塊だから、筋肉質のカワハギにはもってこいだ。
のとじま臨海公園水族館(石川県)で能登のカワハギ漁の話を聞いたことがある。直径3~4メートルのかご状の網の真ん中に、エチゼンクラゲをつるす。網を沈めるとカワハギやウマヅラハギが集まってくる。エチゼンクラゲにくっついて回遊するカワハギの稚魚もいるという。食べられる家に住んでいるようなものだ。 「水族館でも弱ったエチゼンクラゲをカワハギの水槽に餌として入れたことがあるが、カワハギが群がり、周りにボールができ、クラゲが見えなくなった」
エチゼンクラゲは2メートルにもなる。人間が10メートルの大ダコにかみつくようなもの。まるで海のピラニアだ。エチゼンクラゲに刺された魚はぼろぼろになるので、普通の漁では網にかかるのを嫌がる。皮が硬いカワハギは刺されても平気らしい。この皮が簡単にはがせることが名前の由来。漢字では皮剥とも書く。ハゲと呼ぶ地域もある。
漁師の嫌われ者、エチゼンクラゲをおいしいカワハギの養殖に利用できないものだろうか。


◆今日の31貫
北海道イワシ、富津の真鯛、徳島鯵、山口煮アワビ、三重サワラ2種、平目、東京湾エボダイ、鹿児島カンパチ、北海道ボタンエビ、メカジキ、青柳、メジマグロ、東京湾春子タイ、東京湾蛸、北海道松皮カレイ、エンガワ、島根ヤリイカ(ゲソ、エンペラー耳、身)、徳島鯵、北海道生ニシン、サヨリ、金目鯛昆布〆、北海道アン肝、赤貝、宮城県かます、こはだ、車えび、スミクイウオ茨城、うに

◆そのほか
お通し メカジキの血合い
岩手赤崎牡蠣、サヨリ皮、焼きハマグリ




卵焼き、中落ち巻き

◆今日の酒
長野明鏡止水、日高見初しぼり霞酒、会津中将