マゴチは英語でFlathead(平たい頭)。頭はスコップの先のような形をしている。
「白身の魚って、コチに限らず、海の底でジッとしているイメージがありますよね」
ヒラメや穴子など海底の砂地に埋もれた感じ。メバルなんて岩の間でずっと休憩してるみたいに見えるから鮴と書く。
いつも休んでいるのはネコみたいだと思わないだろうか。
白身や赤身は筋肉の色だ。実は、人間など地上の動物にも白い筋肉や赤い筋肉がある。赤い筋肉、つまり、赤身の肉が赤いのは血が赤いのと同じでヘムという鉄化合物の色だ。ヘムは酸素を抱え込む性質がある。筋肉の中ではミオグロビンというたんぱく質の部品として酸素を貯蔵し、血液中ではヘモグロビンというたんぱく質の部品として酸素を運ぶ。
ミオグロビンの少ない白身の筋肉は、瞬発力に優れる。このことから速筋とも呼ばれる。だが、すぐばててしまう。糖質を酸素を使わずに分解してエネルギーにする。
ミオグロビンの多い赤身の筋肉は遅筋と呼ばれ、速筋ほどの瞬発力はないが、持久力がある。糖質や脂質を酸素を使って分解し、エネルギーにする。
白い筋肉が多いのが短距離選手、ネコ科の動物だ。例えば、チーターは秒速30m、時速100km以上で走れるが、その速度を出せるのはせいぜい10数秒。500mぐらいで失速する。
そのため、ネコ科の動物の狩りは獲物にそっと近づいて、一気に襲いかかり、急所に鋭い爪や牙を打ち込む。一撃必殺タイプだ。初手で逃げられてしまうとあきらめが良い。
これに対し、赤い筋肉が多いのがマラソンなどの長距離選手、イヌ科の動物だ。一撃必殺のワザがなく、獲物が疲れるまで追い回す。
休まず泳ぎ続けないと死んでしまうマグロやカツオなどの回遊魚は赤い遅筋の多いイヌ型。そして、海底でジッとしていることの多い白身魚たちはネコ型。人間が近づくと急に大慌てで逃げていく。
鯒の漢字の由来には諸説あり、その1つは、餌を襲う時や天敵から逃げる時、砂の中から踊るように跳びはねるからというもの。瞬発力の白身ならではだ。
白身の魚が同じぐらいのサイズの赤身の魚に比べて熟成に時間がかかる。いざというときにしか使わない筋肉が多いため、たんぱく質などを分解してうま味成分のアミノ酸などに変える酵素の働きが遅いのかもしれない。

◆今日の29貫
宮城県の平目、カンパチ、三陸サゴシ、茨城スミクイウオ、銚子のイワシ、三重メイチダイ、淡路島の鯵、北海道のぼたん海老、シンコ3尾、ぼたん海老の頭揚げ、シンイカ、ゲソ、キス醤油、愛知県マゴチ、気仙沼メカジキ、式根島タカベ、コハダ、生いくら、カツオ、キンメダイ昆布締め、車海老塩、アオリイカ、東京湾タチウオのお腹、三重のイサキ、エボダイ、生ダコ、春子鯛、キス塩、マコガレイ




◆そのほか
お通し 真鯛

徳島岩カキポン酢

卵焼き
◆今日の酒
澤の花、山本(秋田)

